【レースまで】
昨年から始まった地元開催の100kmマラソン。
まだまだ人気は無い。それどころか、一部では大会の内容の割に参加費が高過ぎるなど悪評も少なくない。
そうなのかもしれないが、地元の大会なので応援したい気持ちがあり昨年の第1回大会から出場している。
昨年は、右アキレス腱痛と完治していない右フクラハギの肉離れを抱えて、練習も不充分な状態で出走したので13時間近いタイムだった。仕方無かったのだが情け無い‥
本来ならば、
「今年こそは!」
と思うところだろうが‥エントリー時点から
「一応、申し込むか」
って感じで気合を入れていた訳では無い。地元大会で日帰りで出場出来るし、第1回から連続出場していれば、
「何年か後には‥」
なんて下心もありエントリーしたのだ。
このように失礼ながら真剣味に欠けていたのだが、4月20日の“全日本トライアスロン宮古島大会”が終わり、5月になって体力が回復してくると、
「出るからにはそれなりに頑張らねば!」
っと、ウルトラに備えて走り込む気になった。
‥連続完走中だった“サロマ湖100km”に先着順のエントリーに間に合わず、出場出来なくなった悔しさをぶつけたかったのかもしれない‥
で、5月は‥
50kmのロング走を3回。
30km走を1回(50km走の翌日に2日連続でのロング走)。
月間走行距離は500kmを超えた。
‥大会1ヵ月前からではあるが、一応、練習量には満足だ。内容的には50km以上の距離を走っていないので不安はあったが、50km走の内容が良かったので総合的には満足出来る。
体調も特に悪くは無い。大会に対する気持ちの盛り上がりは正直イマイチだったが、心の片隅では
「自己ベスト更新!」
を期待していた。
こんな感じで大会当日を迎えたのだ。
【レース】
予報では気温は30℃を軽く超える暑い一日になると言う。
ウルトラを行うには過酷である。
そこで考えたこと‥
・暑さ対策として、水を浴びながら走ること。
・補給はコマメにとること(飲み物と食べ物も)
・午前中のうちになるべく進んで、暑くなったらペースを落とすこと。
こんなことを考えてスタートした。
6時30分にスタート。合図と同時にストップウォッチをスタートさせる‥が、?????
なんか変!モードを変えると時刻は
「1月1日12:00」
まただよ!!!
“宮古島トライアスロン”でも時計がフリーズしたが、その後は普通に使えていたのに‥
本番に弱い時計だ‥もしかしたら‥周囲の選手のGPSウォッチの影響か?
良く分からないが、時計の液晶が消えてしまった。
携帯電話を携行していたので、すぐに応援に来てくれた知人へ電話をして事情を話し、折り返し後の10km地点で時計を借りることにした。
今年はスタートして江戸川河川敷を下流へ5km下って折り返し、再びスタート地点に戻ってから上流へ向かうコースになったのだ。
いきなりのアクシデントだったが、意外に平然としていた。たぶん、意気込んでいない大会だったからだろう。
10km手前で時計を借りて、10km地点でストップウォッチをスタートさせる。借りた時計はワタクシが使っている時計と同モデルなので全く問題無く操作出来た。ラッキーである。
予定通り、無理に抑えずに楽なペースで走るが、
「26'/5kmって速いかなぁ?」
っと思いながらも、全く無理している感じが無いのでそのまま走り続けた。
変化の少ない河川敷の風景にはすぐに飽きてしまった。しかし、広々として遠くに視点を置けるので気持ちが良い。ヒバリやカッコウのさえずりを聞きながら開放感に浸る。
20km辺りから風が吹き出した。向かい風だが強くない。体温を下げてくれるので心地よく感じた。
ロスの少ないフォームに気を付ける‥無駄な力が入っていないか?接地でブレーキをかけていないか?筋肉の使い方はスムーズか?
気温と風と、体温の上昇や心拍数の上昇にも気を配る。
徐々に暑さを感じてくる。足元にはクッキリト影が映っている。日差しが気になるのでサンバイザーのツバの向きを変える(キャップにサンバイザーを重ねて後頭部に日が当たらないようにしている)。
30kmを通過。速めのペースで入ったが、ダメージも無く楽に進んでいた。このペースで50kmはイケルだろうと感じていたが、それ以降はどうなるか?後半の自信は無いが、今回は前半で貯金を貯める作戦だ。無理しない程度に楽に走り続けた。変に自重はしない。
さて、いつものレース展開ならば30kmまではやや速めに入り、30km以降はイーブンペースを心がけるのだが、今回は30kmを過ぎてもペースは変えない。フォームに気を付けながら淡々と進む。
いつの間にか風が止み、気温が上昇してきた。コースの先には逃げ水が見える。たどり着けない逃げ水に向かって走り続ける。日差しをジリジリトと感じながら、一歩一歩の接地に集中する。この作業を延々と続けるのだ。
給水所ではコップの水を何杯も使わせてもらった。トライアスロンでは体を濡らすためのスポンジがあったり、スタッフの方がザブザブと頭から水を掛けてくださるのだが、この大会ではそれが無い。自分でコップの水を掛けるしかないのだ。
水を掛けるとシューズが濡れる。走るたびに
「グチョ!グチョ!」
っと音が鳴る。足はフヤケテしまうが、あらかじめワセリンをベットリと塗っておいたので多少は予防になっていただろうか?
こんな感じで順調に55kmの折り返しに到着した。
55km地点でドロップバッグを受け取る。濡らしたハンドタオルと補給のカロリーメイトとアミノバイタルを入れておいた。それはウェアーのポケットに入れ、ここでは摂らない。
用意されたスイカやうどんを食べて、水を被る。
順調に来ているので、あまりゆっくりしたくない。自己ベストを意識し始めていた。
小休止もそこそこに、再びコースへ飛び出した。
まだ、ダメージは感じていないがタイムは落ちてきている。気温は上がり足元の影も短くなった。
「ここで無理は禁物だな」
前半の貯金があるので、うまくぺース配分すれば良い。
頭の中で計算が始まるが、体の感覚を優先する。
ポケットからの補給をコマメに摂りながら、戦略を確認する。
75kmを過ぎると、さすがに疲労と集中力の低下が始まる。
いつの間にか、接地がいい加減になり腰が落ち始めていた。
「イカン、イカン、余計に疲れてしまう!」
ロスの少ないフォームを取り戻す。
‥こんなことをくり返しながら、前へ進むが、いつしか走ることに嫌気を感じ、走るのが苦痛に感じ始めていた。
集中力の欠如である。フォームやレース展開に集中していれば嫌気を感じる暇は無い。
気を取り直して集中する。
そして80km。自己ベストどころか9時間30分切りが現実味をおびてきた!
「あと、20km!」
65km地点から始まった残りの距離のカウントダウンも大分進んできた。
9時間30分切り達成の残り時間と残りの距離を計算すると、かなり勝算がある。変に無理して潰れなければ大丈夫だ。
残りの距離を潰れずに走れるペースで走り続ける。ここまで来てビッグチャンスを逃したくない!
悪く言えば守りに入ったのだが、体力的にも厳しくなっていた。
カウントダウンが進む‥
「あと15km!」
「あと10km!」
「あと5km!」
‥そして、フィニッシュ!!
出来過ぎの9時間24分25秒!
今回は作戦勝ちって感じが強い。
もちろん、練習もそれなりに積んで臨んだが、亀の甲より年の功である。巧くレース展開できた。これもレースの面白さだ。
そして、49歳で自己ベストを30分も更新!
正直、嬉しい。しばらくは余韻に浸りたい。次のことは‥またそのうち考えよう。
毎回のことだが、スタッフの方々には感謝致します。
特に、今回は猛暑の中をレースを支えてくださり本当にお疲れ様でした。
有り難う御座いました。
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鈍足韋駄天 (木曜日, 05 6月 2014 21:30)
ハイレベルでの自己ベスト更新。
しかも、49歳で!
素晴らしいです!
おめでとうございます!