2013.6.30. サロマ湖100kmウルトラマラソン 参戦記

後編

【レース】

 練習量、体調が不充分なので、当初はキロ6分半で走り出し、その後は脚の様子に合わせてペース配分を考えるつもりだった。

 6月1日の“柴又100K”が12時間58分だったので、目標タイムは

 「12時間を切ること」

状況によっては、

 「制限時間内で完走」

と、二段階の目標を持った。

 しかし、コース下見で案内して頂いた衣笠明宏さんの話を聞いたりして、走り出しは無理に抑えずに速すぎないペースで"貯金"をした方が良いと考えを変えた。30kmまではほとんど平らで走りやすい。その後大きなアップダウンがあるので、イーブンペースにはならないだろうから、"体の感じ"を重視して走ることにした。

コース高低図(画像:大会HPより)
コース高低図(画像:大会HPより)

 スタートに整列した4時半頃はまだ肌寒かったが、天気予報では晴れて気温が26℃を超えるということだったので、半袖シャツ、ランニングパンツにゲイター、キャップと後頭部用にサンバイザーそしてサングラスという格好にした。

 5時に近づくと陽が差してきて背中が暖かく感じた。そして、スタート‥

 「どんな一日になるのだろう?」

不安とワクワク感で走り出した。

 

 まず、アキレス腱の痛みが無いことにホッとした。

 「ラッキーだ!」

 この1週間、ほとんど走らなかったのが良かったのだろうか?

 しかし、いつ痛み出してもおかしくないので油断出来ない。

 2kmも進むと防寒で被っているビニールやカッパを脱ぎだす選手が続々‥

 「最初から着なくて良かったでしょ!」

 「ボランティアの皆さんが処分するのを考え無いのかな?」

‥大会では、スタッフの方々への感謝を忘れてはいけない。今朝の気温ならば我慢出来たと思うのだが‥

 

 周囲のランナーにペースを乱されないように、マイペースを確かめるが‥すぐにトイレに行きたくなった。朝食でタップリオレンジジュースを飲んでいるせいだろうが、計算ずくだ。4km付近のトイレに駆け込むと、ちょうど空いたところで待ち時間ゼロ!

 「ラッキーだ!」

最初のうちは誰もがトイレが近くなるので、行列するのが当然なのにどうしたことか?

 そして周回して再びスタート地点に戻り、5kmを通過。

 29'25"。

 「こんなモンだろう‥」

 ‥10km-27'52"/15km-29'26"

 

 17km辺りで2度目のトイレへ。大きな公衆トイレだが、ボランティアの方が空いている所へ誘導してくださっていた!

 「感謝!!」

手際良く誘導された選手達が、スムーズに用を足して流れに戻っていた。ここでも待ち時間ゼロ!

 「またまたラッキーだ!」

 

 やがて“三里番屋”で折り返したトップ選手達とすれ違う。ワイナイナさんと若い選手がトップで並んでいた。

 その後も速い選手とすれ違い、徐々に大勢の選手たちの群れになる。‥応援の太鼓の演奏に手を振り‥折り返す。

 ‥20km-28'26"

 

 再び同じ公衆トイレへ‥待ち時間ゼロ!

 「なんてラッキーなんだ!」

 前半3回のトイレで待ち時間が無い!!今までにこんなことは無かった。どうしたのだろうか?

 

 25km-28'06"/30km-28'42"

 ここまでは平坦でペースもつかみやすい。ほぼイーブンペースで順調にこなして来た。そして‥体のどこにも違和感・異常が無い!

 「ラッキーだ!」

 一番の不安要素であったアキレス腱が痛まないのはラッキーとしか思えなかった。

 ここからは、アップダウンが続くので“脚との相談”を密にしなくてはならない。

 ボチボチ歩き出す選手が目立ちだす。

 「自分は大丈夫か?」

改めて体を細かに観察する。

 35km-28'08"

 順調過ぎて怖いくらいだ。ここで下りに差し掛かるが、あえて歩いた。脚は何とも無いが、体重オーバーを考慮したのだ。そして、

 “変な色気”

が出ないように徒歩で下ったのだ。

 40km-30'27"

 コースはサロマ湖の湖畔に沿って進む。日差しが気になるが、青い空と青い湖は美しい。ロケーションは最高だ。

 42.195km-4°03'10"

 フルの距離を走っても脚は元気!

 「ひょっとしてサブテン?」

欲張りな心の声が囁いた。練習量と体重を考えるとハンディーが大きいが‥心の目で体を点検する。

 景色を眺めながらもフォームを崩さないように注意して走る。

 45km-29'21"/50km-28'50"

 登り坂に入っても脚は大丈夫!左の腸脛靭帯に違和感が出たがすぐに治まっている。順調だ。

 ワタクシの長所は

 “登りに強い”

そして、

 “暑さに強い”

ところだ。特徴を活かして長い坂を登る‥腕を振る‥お尻を使う‥次々と選手を抜いて行く。無理はしていない。心拍数は上がるが乳酸が貯まるほどでは無いだろう。長い登りの先には三角屋根のレストステーションがある‥

 ここで一息。

 レストステーション手前でスタッフの方が選手のナンバーを伝えてテントの手前ですぐに袋を手渡しして頂いた。

 「有り難う!‥有り難う!」

あちこちのスタッフの方へお礼を言いながら補給する。

 握り寿司大のおにぎりを次々に頬張るが、良く噛まないと消化に悪い。水分を一緒に口に入れモグモグしながらストレッチ。

 しゃがみ込んで袋からカロリーメイトとアミノバイタルプロをポケットへ。ここでは、大会側で用意して頂いた物だけを補給した。

 ポケットに入れたカロリーメイトはこの先で補給する。

 太ももを手でプルプル揺すって、スタッフの方へ荷物を手渡しコースへ向かうと‥

 「!!!何てこった!!!!」

トラブル発生!左膝、腸脛靭帯が痛い!!!

 ギクシャクとレストステーションの出口へ歩いて行くと、かぶり水を入れた大きなバケツの脇にパイプ椅子が並べられていた。

 そこに座って軽くマッサージするが、

 「致命的な痛みか?」

座っていても仕方が無い。ギクシャクと歩きながらコースを進む。周囲の選手も大勢歩いている。サブテンペースの選手でも、補給の後は歩く選手が多い。

 200mほど歩いてから、ゆっくりと走ってみた。ギクシャクとした走りしか出来ない。

 ここで思い出した。6月9日のブログ『痛みって!?』に書いた時も、“ヤンキー座り”した後に、腸脛靭帯が痛くなっている。

 この時も、袋から取り出す時に15秒ほど“ヤンキー座り”をしていたのだ!

 たぶん、これが要因の一つだろう。

 こんな所で新たな発見!身をもっての発見だ。

 こんなことを考えながらギクシャクと500m近く走ると、痛みが消えている!

 「ラッキーだ!」

2009年は、この痛みで走れなくなってしまったが、今回は復活した!

 55km-33'26"/60km-28'42"(スプリットタイム5°50'43")

‥何と、サブテンに貯金9分以上!

 「大崩れしなければ‥」

 「いやいや、体重を考えろ!」

 「そろそろ脚にくるぞ!」

などと思いながら走っていると‥

 !!!変?!?!!!!

 何と、不整脈だ!拍動が不規則で脈が飛ぶ!

 「おいおい、ヨシテヨ!」

 呼吸が上がり、胸が締め付けられる感じ、目の前が白くなって来る‥仕方なく歩いて深呼吸。不整脈は希に起こるが異常は無いもので、負荷心電図でも健康診断でも異常無しなのだが‥

 (さすがに、不整脈が出てしまうと運動は出来ない。2回ほど走り出したら治まったこともあるが‥)

 歩いては走り頭がポー。歩いては走り胸がキュー。歩いては走り呼吸がハッハッ‥

 治まらない。

 循環器系のトラブルは即、棄権すべきだろうが‥

 ‥歩いた。お叱りになる方も多いでしょうが、多少の知識と不整脈中の運動経験があったので、ゆっくり歩いた。

 すると、やはり大丈夫。歩くぐらいの短いjogと長い徒歩を繰り返し前へ進む。

 65km-34'03"/70km-34'24"(スプリットタイム6°59'10")

 70kmはサブセブンだった。これで良しとした。

 いつしか不整脈は治まっていたが、万が一が有っては大会関係者の方々に多大なご迷惑を掛けてしまう。

 

 そこで、ゆっくりとjogを続けた。

 こんなに天気の良いサロマ湖を眺めて、そしてワッカをファンラン出来るのだ!

 制限時間は全く気にしなくても大丈夫!

 「何て幸せなことだ!」

  そんなふうに考えを変えて、サロマの後半を満喫しようと決めた!

75km-42'41"/80km-39'29"/85km-36'34"/90km-35'30"

 

 そう言えば、アンラッキー(?)もあった。

 80kmのスペシャルドリンクが見つけられなかったのだ。ナンバーごとに置かれている所を3回も見直したのに、見つからない!

 「ゆっくりだからイイや。」

 ってことにして、スルーした。

 

 ワッカを折り返し90kmを過ぎると、さすがに脚にキタ。

 無理せずに下りは歩いて余裕を持って進む。

 95km-37'27"/100km-37'18"

 

 10時間48分10秒で完走。

 

 目標タイムを1時間10分以上も上回るも、チョット残念な結果。

 しかし、楽しめた。

 

 このレースに出場出来ただけでも幸せなことだ。大勢の大会スタッフの方々と、応援の皆様と、一緒に走った選手たちに感謝。

 

 残念ながら諸事情で、出場出来なかった方々のためにも頑張りたかったし、色んな思いで一緒に走っている選手のためにも丁寧に走りたかったので、その点は出来ていたと思う。

 

 素晴らしい大会だった。

 

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